鑑賞日 3月8日
監督 石川慶
脚本 向井康介
出演者 妻夫木聡 満島ひかり 小出恵介 臼田あさ美
80点
久しぶりの1人映画
公開から少し経ってから映画館に観に行ったのですが客が僕1人でした。たまにあるんですが、これすごく怖いんですよね。
誰もいないと思っているとたまに映画館のスタッフが覗きに来ててビクゥッΣ(゚д゚;)ってなったり。
今作も内容がこれなのでめっちゃビビりながら観てましたw
カイザーソゼから始まる物語
バスの席に座っていた田中武志(妻夫木聡)は「席を老人に譲れヾ(*`Д´*)ノ”」と正義感の塊みたいなおじさんに怒られ言われた通りに席を譲った後、これ見よがしに足が不自由なことをアピールします。
しかしバスを降りた後、それが嘘だったのが分かるんですがこの見せ方が「ユージュアルサスペクツ」のカイザーソゼに見えました。
この一連の流れで田中武志がどんな人間なのかを的確に説明している名シーンだったと思います。カイザーソゼ(観客に嘘をついている)も伏線だったのかなと。
取材をするだけの話
この映画は基本的に週刊誌の記者である田中武志が一家殺人事件の関係者に取材をするだけの話で、盛り上がったりするシーンはほとんどないですが僕はその話にグイグイ引き込まれていきました。
最初に話を聞く殺された一家の父の同僚のエピソードのクズっぷりが凄まじいのに(特に女性は怒り狂うんじゃないでしょうか?)最後には「なんであんないいやつが」と泣くシーンはいい意味でモヤモヤしました。
確かにクズではあるが殺されるほどではないし少なくともこの同僚はいい思い出として話してて「昔は悪だった」みたいな聞いてる方はすごく不快なエピソードですが映画として見るとこのギャップが面白かったです。
ちなみにこのシーンで可哀想な目に会う女性はファイナルファンタジーⅩでリュックの声を担当していた松本まりかさんということを後で知りました。
エロ可愛かった( ̄∇ ̄*)
別の視点から見えてくる姿
次に、一家の母、淳子(臼田あさ美)の大学時代の友人に話を聞くのですが、ここで聞く淳子とその後、友人の元恋人に聞く淳子の話が微妙に違っていて1人の人から話を聞くとその人の主観が入ってくるので真実とズレてしまうというのが最後の伏線になっていたのが良かったです。
最後に取材する稲村恵美(市川由衣)の話で出てくる「就職のために社長の娘を彼女に選ぶ」みたいなセリフは「結婚相手に高収入を求める」という女性に向けたメッセージなのかなと思いましたw
名脚本家の素晴らしいアレンジ
取材をして事件の裏側を知っていく田中武志=映画を観ている自分だと思って感情移入していると終盤に明かされる光子の子供は武志との子だったという事実に全てをひっくり返されます。
この事実を最後に知るのが弁護士の美紗子(濱田マリ)ですが本当はこっちが映画を観ている人の視点で、この映画はあくまでも田中武志というフィルターをはさんだ1つの視点でしかなかったのが、武志の母という別の視点が加わったことにより真実が見えてくるという構造で、ものすごいうまいことをやっているなと思いました。
そしてこの弁護士は僕の大好きな脚本家である向井康介が映画オリジナルのキャラクターとして登場させたものらしく、素晴らしいアレンジだったと思います。(ちなみに精神科医も映画オリジナルらしいです)
予告編の3度の衝撃
予告編には「しかけられた3度の衝撃」と煽っていますがこれは
①武志が人を殺した
②光子が犯人だった
③兄弟の子供だった
ということでしょうか?本編を観た後だとあまりいい予告編ではないかなという感じ。
微妙と感じてしまったところも
全体の気持ち悪いトーンはすごく好みだったし役者の演技も楽しめましたが「武志」がカフェで殺人をするシーンはかなりガッカリでした。
画面の奥の方で殺人をするという演出は良かったんですが、置物で頭を殴っているようには全く見えなくて、専門学生の卒業制作みたいな嘘臭さでかなり萎えました。
倒れた後に追い打ちする時もやっぱり殴っているようには見えなくて、もうちょっとなんとかならなかったのかなと。
それと観ていてずっと気になっていたのが登場人物たちが全く大学生に見えなかったのもかなりノイズになりました。
調べて見ると皆さん30歳オーバーでそりゃそうなるよなと。だったら20代前半の役者を30過ぎの人に演出すれば良かったのではと思ってしまいましたが大人の都合もあったのかなー。
後味は最悪な映画ですが非常に楽しめたのでぜひ映画館で!
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