意味が分からなかったで終わりにしてほしくない「雨の日は会えない、晴れた日は君を想う」の感想(ネタバレあり)

鑑賞日 2月24日
監督 ジャン=マルク・バレ(ダラス・バイヤーズクラブ わたしに会うまでの1600キロなど)
出演者 ジェイク・ギレンホール ナオミ・ワッツ クリス・クーパー

 

85点

「永い言い訳」のような予告編

他の方のブログなどを読んでいても同じことを書いていたのでたぶんみんなそう思ったと思いますが予告編を見ると去年公開された「永い言い訳」を思い出しました。
①妻がなくなる ②悲しくない。泣けない。 ③子供と触れ合う
という要素が予告編に入っていて全く同じじゃん(;゚△゚)ツ なんて思い「永い言い訳」は僕の去年のトップ10に入る級に好きな作品だし、何より「大切な人を亡くした後にどう生きるか?」がテーマな作品は毎回グッとくるものがあるのでシネマカリテに見に行ったのですが、サービスデーということでその日はすべての回が売り切れだったぜ!ヽ(TдT)ノ

気を取り直して翌日もう一度シネマカリテに行きました。
実際に見ると「永い言い訳」と全然違くて不思議な感覚に包まれる作品でした。

 

物語の始まり方が独特で面白い

妻を亡くしたデイヴィス(ジェイク・ギレンホール)は病院にあるお菓子の自動販売機が詰まり、クレームの手紙になぜ病院にいたかを伝えるためと奥さんのことも書くというぶっとんだ行動に出ます。
でも喪失感を感じた時に誰でもいいから話したいと思ったりするのは普通のことでそれが赤の他人の方が良かったりするのでそれを映画として面白く表現していてうまいなと思いました。

 

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全体にある狂気はナイトクローラー

全く悲しみを感じられなかったデイヴィスは義理の父に「心の修理も車の修理も同じ。隅々まで点検して組み立て直せ」とアドバイスを受け、妻に壊れてると言われていた冷蔵庫を解体します。
これに快感を覚えたデイヴィスは会社の備品など色々なものを解体しまくります。
家の解体屋を見つけると「金はいらない。むしろ金をやるから解体させてくれ」と頼み込むまでになります。(劇場のお客さんは爆笑してましたw)
この狂気は完全に「ナイトクローラー」の時のジェイク・ギレンホールで最高でした。

音楽を聴きながらキレッキレで街の中を踊るシーンも非常に楽しめました。

 

 

街の喧騒のシーンが何度もあったのちに、ここでは人混みの中でジャンプしてぴょこんと顔を出す演出もツボでした。

 

 

 

 

 

 

周りの人の視線も最高だぜ。なんて思ったり。

 

 

 

 

 

僕もテンションが上がっている時はここまでではないですが、駅で電車を待っている時に頭を揺らしたりしてしまうのでこんな目で見られているなんて…

最高。

 

ラストの考察

他の方のブログを読んでいるとここまでは楽しめても最後でポカーンとなる人が多かったのかなと思いました。
ざっくり流れを書くと

 

①家でエコー写真を見つける。

②義理に母に浮気相手との子供だったので堕したと言われる。

③デイヴィスを付け回していた男は妻の浮気相手ではなく妻が死んだを事故を起こした人だった。

④サンバイザーの妻が書いたメモ(雨の日は会えない、晴れた日は君を想う)を見つける。

⑤義理の父に「あんな奨学金をやるくらいなら本当に妻のためになることをしたい」と頼む。

⑥使われなくなったメリーゴーランドを修理し、ダウン症?の子が遊んでいるシーンを眺めるジェイクと義理の父。

 

 

こうやってポイントを絞ると何が起きたか分かりやすいんじゃないかと思います。
おそらく義理の母が「浮気相手との子供」と言ったのはウソなんじゃないかと。
この発言をしたシーンは、娘のためを思ってと始めた奨学金設立のパーティーをぶち壊しにした直後だったので、怒った義理の母が口から出任せを言ったんじゃないかと。
その後に付け回していた浮気相手だと思っていた男が事故を起こした人だったというのもミスリードということになると思います。
ではなぜ子供を堕ろすことになったのかは、妻のために修理したメリーゴーランドで乗っている子供たちがダウン症の子なのでおそらく何か障害を持ってたのではないかと思われます。

 

タイトルの意味

現代は「Demolition」で破壊という意味らしいのですが邦題はラノベのタイトルみたいでげんなりしていたのですがちゃんと物語の中で登場したものでした。
このサンバイザーの裏に買いてあった「雨の日は会えない、晴れた日は君を想う」というメモを読んだデイヴィスが落涙する意味がよく分かりませんでした。

だうなあ日記~blogさんのこの記事を参考にさせていただくと
http://d.hatena.ne.jp/knockeye/20170219

サンバイザーの裏なので「雨だったら見ないでしょうけど、晴れたらこれを見つけて思い出してくれるでしょう。」という奥からの皮肉を込めたメッセージだったようです。
つまり後悔の涙ということだと思います。

 

大切な人を亡くした後にどう生きるか?

最初にクレームに書いた内容で出会ったその日に夜をすごしてその勢いで結婚したと伝えていますが、最後には海に行ったりメリーゴーランドに乗った素敵な思い出があったことに気づき、それをちゃんと思い出したことを妻に伝えるために海辺にメリーゴーランドを作ったのかなと思いました。

観ていた時は全てが把握しきれず、よく分からないなと思いながらもなぜか泣いてしまったり、ダンスシーンでは笑えたり不思議な感覚になる映画でした。

ただちょっと説明不足なのかなと思う部分もあったり、子供が銃で不意打ちするのはさすがにヒヤッとしたりして怒れよ\(*`∧´)/なんて思ったり。

好き嫌いが別れる映画だと思いますが、「意味が分からなかった」で終わりにしてしまうのはもったいないんじゃないかなと思いました。